CBRNe Convergence 2010開催

第3回CBRNe Convergenceが、オーランドのRosen Plaza Hotelで、2010年11月2日から5日にかけて開催された。第1回、第2回とヨーロッパでの開催に引き続き、今回初めて、米国での開催となった。初日の対抗医薬品についてのpre-conference workshopのあと、11月3日、4日の本会議では、12の国から30名のスピーカーが、それぞれの国おけるCBRNE対策に関連する取り組みについて講演を行った。この会議は、検知器や除染剤などの現場で使用される最新機器の展示会も兼ねている。また、11月5日には、米国の軍や消防が保有している対処能力を示すデモンストレーションも行われた。

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Rosen Plaza Hotel

11月5日デモンストレーション

デモンストレーションは、化学剤を混ぜた爆弾に対処するというシナリオで行われた。
爆発のあと、最初に現場に駆けつけるのは警察である。

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連邦捜査局(FBI)、消防、軍のそれぞれが検知器材を保有しているが、ホットゾーンに入るなどの役割から、実際に作業を行うのは軍とみられている。

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軍の除染車。ホットゾーンに入った兵士の除染を行う。(今回のデモンストレーションでは、実際の除染は行われなかった。)

IMG_1284.JPG除染後、体に化学剤が残っていないかをここで確認する。

IMG_1280.JPGもし、兵士が重篤な状態であればすぐに搬送を行うことになっている。

IMG_1274.JPG大衆の除染は、消防が行う。(今回のデモンストレーションでは、実際の除染は行われなかった。)

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*本記事は安全安心科学技術プロジェクトより寄稿したものです。

SISPAT

シンガポール毒性物質防護国際会議( Singapore
International Symposium on Protection Against Toxic Substances (SISPAT)
がシンガポールで開催されている。この会議は、1998年に始まった会議で、アジア・パシフィック領域における化学生物剤に対する防御技術の共有を進めることを目的としており、特に技術と運用の融合が重視されている。以来、放射性物質の脅威も対象に加え、現在では参加者は400人を超える。主催は国防科学機構(DSO)国立研究所、共催は軍のCBRE防御グループである。出展は化学テロ対策がコアである。参加者は、軍関係者と業者が主と見られるが、二十数カ国からの参加者があるという。(日本からは<10名)CBRNE対策の会合としては、ほかに、3年に一度スウェーデンで開催されるInternational
Symposium on Protection against Chemical and Biological Warfare Agents
www.cbwsymp.foi.se)→来年開催予定、や、ノルウェイで行われるSymposium on chemical, biological, nuclear and radiological threats (http://www.nbcsec.fi/nbc/index1.htm) が有名である。

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その他関連する会議情報を、Googleカレンダーにてにて紹介しているのでご参照ください。

炭疽菌攻撃シナリオと医薬品配送のケーススタディ@HHS Public Health Emergency Medical Countermeasures Enterprise Stakeholders Workshop and BARDA Industry Day

今年で4回目を迎えるステークホルダーワークショップであるが、今回初の試みとして、机上演習が実施されたので簡単にご紹介したい。最初に机上演習の狙いと基礎的な背景が説明され、セッションの合間にビデオでさらなる状況アップデートと意思決定に関する基本的な情報がビデオで提示され、質問票に回答する、という形式であった。この演習は、テロ対抗医薬品が抱える問題(”Challenges”)を共有してもらうためであり、主に医薬品配布担当者に向けた教材である。

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シナリオは、ある都市でエアロゾル化された炭疽菌芽胞が撒布された、という設定である。市内に設置された生物剤検知器の9台が、炭疽菌を検知し、対策を実行すべき検査結果’Biowatch Actionable Result”と宣言され、故意の撒布が確実に行われた、と判断された、というシナリオが付与された。

以下の様な判断を求められた。
1)抗生剤の曝露後予防投与のために,撒布されたと考えられる地域全員に薬剤配布を開始するか、それとも曝露者がはっきりするまで待つべきか?
2)国家備蓄の放出を要請するか?市場の供給量を検討してからにするか?
3)経口抗生剤のほかに医薬品や機材は何を放出するか?
4)一般人に配布する前に初期対応者に予防薬を提供するか
5)小児用溶解型抗生剤の数が限られている。このような限られた物資をどのように配分するか?
6)市の公衆衛生部門のスタッフとして、勤務可能なスタッフやボランティアの数を考えると以下の二つの方法が考えられる。どちらを選ぶか?
  a. 配布場所(POD)をすぐに開設し、担当範囲に48時間以内に配布する
  b. 開設は翌日まで待ち、スタッフ人員が整うのを待ち、24時間以内に担当範囲に配布する。
7)抗生剤を受け取る何百万人もの人の患者情報を如何に入手するか
8)脆弱な人口集団に如何に効率的に薬を投与するために、PODを如何に運営するか。
a.脆弱な人口集団は以下のどれに該当するか
 コミュニケーションの障害/抗生剤禁忌/小児/毎日服用が出来ない/PODにアクセスできない
b.ニーズに合わせるためにPODの運営の何を変更するか
9)市を離れようとする人を引き留めるか
10)さらなる曝露を避けるための対策は
11)公共交通機関を止めるか?
12)どこにPODを設置するか
13)医薬品を配る代替案は?
14)病院に肺炭疽の初期症状者のほか、抗生剤の投与を受けようとする健常人であふれかえっている。この混乱をどうするか。
15)健康で無症状の人さえも50日も抗生剤を服用する必要があるのかとTVレポーターに尋ねられたら?

考えてみればどれも答えが無く、頭を抱えることばかりだが、この”Challenge”を社会と共有する姿勢、そしてそれを技術開発等で克服していこうという前向きな姿勢が見て取れるセッションであった。

米国保健福祉省公衆衛生危機対抗医薬品事業ステークホルダーワークショップ&BARDA企業発表会

米国保健福祉省公衆衛生危機対抗医薬品事業ステークホルダーワークショップ&BARDA企業発表会 HHS Public Health Emergency Medical Countermeasures Enterprise Stakeholders Workshop and BARDA Industry Day
が米国ワシントンDCで開催されている。BARDAWS09.JPG

これは2006年のBioShield Stakeholders Workshopに始まる米国の対テロ対抗医薬品開発に関しして、ステークホルダーの交流を深めるワークショップであり、今年で4回目を迎える。今年は一部のセッションを米国医学会(AMA)の「第3回米国保健システム準備会議:21世紀の災害医学と公衆衛生事前準備」と共催で行っている
主な内容は、
・環境モニタリングと健康サーベイランス
・対抗医薬品事前準備における公衆衛生検査機関と臨床診断の役割
・連邦公衆衛生危機対応計画における対抗医薬品
・公衆衛生危機対抗医薬品の戦略的国家備蓄
・州、地域、部族、地区における対抗医薬品配布-ベストプラクティス事例
・公衆衛生危機対応における資源利用の最大化
・米国保健福祉省公衆衛生危機対抗医薬品事業の未来
・対抗医薬品開発における公衆衛生危機対抗医薬品事業のプロセス
・対抗医薬品の配布の諸問題
といったセッションのほか、炭疽菌テロを題材とした机上演習が実施された。

“Medical Countermeasures: From the Bench to the Bloodstream”というテーマに表されるように、また、AMAとの共催と言うこともあり今年のセッションの特徴として、これまで中心であった医薬品開発から、事態が発生した際に医薬品を配布して使用するプロセスを意識した構成となった。

BARDA CBRN Medical Countermeasures Workshop 2009@Bethesda, MD, Day2

ワークショップ2日目は主に調達システムに関して詳細な説明が行われた。

・調達管理システム(Acquisition Management System)について
・新技術開発を目的に広く提案を求める制度(Broad Agency Annoucements)について
・BARDAにおける様々な契約様式について
・BARDAの入札企業募集(Solicitation)に応えるには
・技術評価委員会のプロセス
・データの知的所有権、特許
・倫理、利益相反

といった内容について各部局の担当者から逐一説明が行われ、Q&Aのセッションが設けられた。

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なお、プレゼンテーション資料等は、すべて
https://www.medicalcountermeasures.gov/BARDA/MCM/workshop/2009/2009workshop.aspx
にアップロードされる予定である。

なお、BARDAの管轄する公衆衛生危機医薬品調達事業(PHEMCE:The Public Health Emergency Medical Countermeasures Enterprise)ステークホルダーワークショップ&BARDA企業説明会は
2009年12月2?4日
@Marriott Wardman Park Hotel, Washington DC
にて開催される予定である。

お申し込みおよび詳細は、
https://www.medicalcountermeasures.gov/BARDA/PHEMCE/workshop/2009/2009workshop.aspx

*本記事は安全安心科学技術プロジェクトにおける調査出張報告から寄稿したものです。

BARDA CBRN Medical Countermeasures Workshop 2009@Bethesda, MD, Day1

米国・保健福祉省・事前準備対応次官補局(ASPR: Assistant Secretary for Preparedness and Response)・

生物医学先端研究開発局(BARDA: The Biomedical Advanced Research and Development Authority) 化学・生物・核/放射線(CBRN)兵器対抗医薬品(Medical Countermeasures)ワークショップ2009がメリーランド州ベセスダで2日間にわたって開催された。主に参加する企業向けにBARDAにおけるCBRN医薬品開発プログラムの状況や入札等のシステムに関してこれだけの説明会が開催されたのは初めてのことである。出席者は、BARDA関係者のほか開発企業(ほとんどがベンチャー)及び少数の大学関係者、計300名弱であった。

初日は
・BARDAの組織体制およびCBRNディビジョンについて
・CBRN戦略的プラン
・各対抗医薬品の調達状況(炭疽菌ワクチン、抗毒素、化学/核/放射線、天然痘)
・調達案件の必要事項の設定について
・資金拠出メカニズム
・規制(アニマルルール、緊急時使用等、国家備蓄等)
について各部局の担当者から逐一説明が行われ、Q&Aのセッションが設けられた。

なお、プレゼンテーション資料等は、すべて
https://www.medicalcountermeasures.gov/BARDA/MCM/workshop/2009/2009workshop.aspx
にアップロードされる予定である。

*本記事は安全安心科学技術プロジェクトにおける調査出張報告から寄稿したものです。

ヨーロッパ・バイオセーフティ学会年次会合 @Karolinska Institute, Stockholm, Sweden

The European Biosafety Associationは27のEU加盟国を中心に
ヨーロッパのバイオセーフティ向上に向けて活動する学会である。
本年度の年次会合では、
・植物・動物のバイオセーフティ
・公衆衛生と遺伝子組み換え
・バイオセーフティマネージメントの実際
・規制・査察方法の向上
・応用バイオセーフティ
といったテーマのセッションが設けられた。
ほか、
・ラボ・バイオセキュリティ
・バイオエシックス
・リスク評価における事務処理と実際のギャップを埋める
・バイオセーフティプロフェッショナルの能力
・動物からの副産物
・事故報告と調査
・ラボ・バイオリスクマネージメントスタンダードのアップデートと今後
をテーマとしたオープンディスカッションの場がそれぞれ設けられた。

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本会合の目玉(?)とも言える展示品 
Swedish Army Forces
 “Deployable CBRN Analytical Laboratory” 
by FMV (The Defence Material Administration)
をご紹介する。

スウェーデンの軍が使用しているモバイル型CBRNラボである。20フィートのコンテナに収められ、中のコンポーネントを変えることで生物剤、核/放射線、化学剤などへも対処可能。ClassIIIのグローブボックスが収められていた。

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*本記事は安全安心科学技術プロジェクトにおける調査出張報告から寄稿したものです。